日本商工会議所が5日発表した「中小企業における最低賃金(最賃)の影響調査」によると、政府が目標にしている「2020年代に全国平均1500円」に対して、19.7%が「対応不可能」、54.5%が「対応困難」としており、合わせると7割を超えることがわかった。
昨年の最賃引き上げ(平均51円アップ)については、「最賃を下回る従業員がいたため引き上げた」企業が44.3%(前年比5.9ポイント増)と過去5年の最高を記録。引き上げなかった企業は28.3%(同3.1ポイント減)の最低だった。
その結果、「具体的な対応が取れず、収益を圧迫している」企業が31.4%あり、「人件費増加分の製品・サービス価格への転嫁」の26.9%、「原材料費増加分の価格転嫁」の22.3%などを上回っている(複数回答)。現在の最賃に対しては76.0%(同10.3ポイント増)が負担に感じている。
こうした状況下で、「平均1500円」の政府目標については、74.2%が「対応不可能」「対応困難」と回答しており、とりわけ地方の小規模企業では76.4%と、都市部の61.9%よりかなり高いことがわかった。
対応できる水準は「年3%程度」が23.0%で最も多く、「2%程度」が20.3%、「1%程度」が13.9%だった。「1%未満~3%程度」を合わせて67.9%に達し、「対応可能」はわずか1.0%だった。政府に対しては「税・社会保険料の負担軽減」を求める企業が77.5%に上っている。
調査は1月20日~2月14日に実施。全国389商工会議所傘下にある3958社の回答を集計した。