製造請負・派遣の業界団体・日本BPO協会(清水竜一会長)と連合(芳野友子会長)は3日、「同一労働同一賃金」関連法制の施行から5年が経過するなか、雇用の安定や労働条件の向上など、多様な働き方を実現する就業環境の整備に向けた「共同宣言」を締結した。日本BPO協会の清水会長=写真上・左=は「製造と開発の現場は新しいテクノロジーが導入され、新しい職場環境の中で働く人がテクノロジーを使いこなせるか否かが重要になっている。連合の知見や力添えを得ながら人材育成と確保に努め、スキルアップやキャリアチェンジを後押していく」強調。連合の清水秀行事務局長=写真上・右=は「多様性が尊重される職場社会の実現が求められている。相互の対話を深めながら、派遣労働者や有期雇用労働者が安心して働くことのできる職場づくりにともに努力したい」と、社会環境の整備に向けて連携を確認した。
日本BPO協会と連合の共同宣言は、2020年から6年連続で通算8回目。また、「働き方改革関連法」が施行された19年には、長時間労働の是正に向けた宣言も結ぶなど、意見交換と相互協力を継続している。今年は「賃金の安定的上昇」に向けた取り組みの重要性や、その源泉となる「人への投資」を積極的に進めることを確認。春闘の集中回答日を来週に控えたこの日、2025年版の共同宣言にこぎ着けた。
共同宣言には、「同一労働同一賃金」をはじめとする労働法制の動きを記し、「労務費の価格転嫁が確実に行われ、賃上げに向けた適正な原資が確保されるよう共に協力していく」と明記。日本BPO協会はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と派遣の使用者団体として、連合は労働組合のナショナルセンターとして、諸課題の解決に取り組むことを申し合わせた=写真・中。
連合会館で行われた共同宣言には、日本BPO協会の理事=写真・下=、連合は幹部が顔をそろえた。意見交換では、日本BPO側が会員企業の協力を得て独自に定点観測している「製造請負・派遣事業動向調査」の最新動向や、協会で策定した「将来ビジョン2030」の第1期中期事業計画(21~24年度)と第2期(25~27年度)の進ちょく状況などを説明。連合側は、雇用安定・処遇改善等に向けた取り組みや連合労働相談ホットラインの集計結果などを説明したあと、雇用労働を巡る諸課題について意見を交わした。