厚生労働省の「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」(主査・小川浩大妻女子大副学長)は27日、障害者の就労を支援する人が取得できる新たな資格創設や制度設計などを盛り込んだ報告書を取りまとめた=写真。総合的な知識と技能を検定する中級レベルの資格からスタート。2025年度から学科試験のモデル問題の作成と検証を実施し、3年以内の運用開始を目指す。新設する業界団体が主催する民間資格として運用を開始し、将来的に国家資格化も視野に入れている。
新たな資格は「障害者就労支援士」。障害者就労支援の実務経験が3年以上ある人や職場適応をサポートする「ジョブコーチ」の養成研修を修了した人など、障害者就労支援に従事している人が対象。試験科目は就労支援の理念や目的、障害者雇用の現状など障害者雇用や福祉政策に加え、労働法制や障害に関する知識を問う方針だ。
障害者の安定した就労を支える専門人材の育成と確保が求められるなか、新たな資格の創設によって、障害者の職業生活の質の向上と社会全体での包摂的な働き方の実現につなげたい考え。また、支援に携わる専門人材の社会的・経済的な地位向上に伴い、障害者支援の環境を充実させる狙いがある。
厚労省の2024年「障害者雇用状況」(6月1日時点)によると、企業の障害者雇用数は67万7461.5人(前年比5.5%増)と21年連続で増加し、実雇用率も2.41%(同0.08ポイント増)と、どちらも過去最高を更新。10年前に比べて57%も増加し、就労支援の需要が急速に高まっている。この日の作業部会では、報告書を踏まえた来年度以降の展開を見据え、委員から「単に学科試験で資格が取得できるという流れではなく、現場の実践者にとって有効な仕組みにすべき」「新設する業界団体には現場の知見を持った関係機関にも参画してもらいたい」といった意見や要望が挙がった。
22年4月から約3年間にわたり多面的かつ詳細に検討を重ねてきた同作業部会は...
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