「働き方改革関連法」に連なる同一労働同一賃金の法整備と運用規定を検討した労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」が5日、2018年11月以来、約6年ぶりに再開した=写真。「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」を巡る「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」について、20年4月の施行から5年が経過するため、改正法附則の見直し検討規定に基づき、施行状況や非正規労働者の現状を踏まえて議論する。3月にかけて、労使関係団体や有識者などからヒアリングを実施し、個別の論点を整理しながら検討を深める方針だ。
「同一部会」は、(1)均等・均衡待遇の規定(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援――の3点を軸に検討する。このほか、パートタイム・有期雇用労働法で定められている「短時間・有期雇用労働者対策基本方針」が今年3月末に運用期限を迎えるため、「同一部会」の議論を踏まえつつ雇用環境・均等分科会で議論する。
この日は、事務局の厚生労働省が非正規労働者に関する現状や推移を説明したあと、雇用環境・均等局が「パート・有期法」、職業安定局が「派遣法」の施行状況について報告した。これを受けて、労働者側委員は「依然として雇用形態間の賃金格差が大きく、同一労働同一賃金の法律に込められた思いが達成できているか疑問を感じる」と指摘。派遣法に対しては「派遣先均等と派遣元による労使協定の2つの方式が認められていて、制度的に複雑になっており、待遇改善や均等・均衡に対応できているのかしっかり検証しながら、あるべき姿を議論していきたい」との姿勢を示した。
使用者側委員は、「パート・有期法」「派遣法」ともに賃金上昇や待遇改善に結びついていると評価したうえで、「有期労働者のスキルアップ支援や正社員転換などの施策を推し進めることが重要。法律の施行状況について理解を深め、必要な見直しを検討していきたい」と述べた。
同部会の委員は公労使各6人で構成。公益は小畑史子氏(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)▽風神佐知子氏(慶應義塾大学商学部教授)▽坂爪洋美氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)▽中窪裕也氏(獨協大学法学部特任教授)▽守島基博氏(学習院大学経営学部経営学科教授・一橋大学名誉教授)▽山田久氏(法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授)。
労働者側が池田智香子氏(全日本自動車産業労働組合総連合会中央執行委員・労働政策局長)▽齋藤久子氏(情報産業労働組合連合会政策担当部長)▽柴田弘樹氏(UAゼンセン人材サービスゼネラルユニオン会長)▽冨髙裕子氏(日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長)▽永井幸子氏(UAゼンセン副書記長)▽水崎恵一氏(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会中央執行委員)。
使用者側は及川勝氏(全国中小企業団体中央会常務理事)▽大下英和氏(日本商工会議所産業政策第二部長)▽岡崎有美氏(三越伊勢丹ホールディングス人事統括部人事企画部プランニングスタッフ)▽鳥越千裕氏(資生堂秘書・渉外部長)▽中川由子氏(NIPPON EXPRESSホールディングス人財戦略統括部課長)▽原田豪氏(日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹)。座長は公益の守島氏が務める。
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