厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査の昨年12月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は61万9580円(前年同月比4.8%増)で36カ月連続のプラスとなった。物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)も173.0(同0.6%増)と2カ月連続のプラスとなった。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万5303円(同2.7%増)で、冬ボーナスなどの特別給与が33万3918円(同6.8%増)と大きく伸びてプラス転換に寄与した。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は83万8606円(同4.9%増)、パートタイム労働者は12万9919円(同6.8%増)だった。
産業別で大きく伸びたのは、「鉱業、採石業等」の90万8664円(同35.0%増)、「生活関連サービス等」の32万6439円(同11.2%増)、「電気・ガス」の124万5044円(同10.4%増)。全16産業でプラスとなった。
月間総実労働時間は136.7時間(同1.1%減)。月末の常用労働者数は5127.6万人(同0.9%増)で、パートタイム比率は30.97%(同0.11ポイント増)に上昇している。
実質賃金は3年連続のマイナス、24年平均
この結果、2024年の年間では現金給与総額が平均34万81812円(前年比2.9%増)と4年連続のプラスとなった。しかし、消費者物価の伸び3.2%を差し引いた実質賃金指数は99.4(同0.2%減)で3年連続のマイナス。11月以降はプラス転換したものの、それ以前のマイナスが響いた。ただ、マイナス幅は大きく縮小した。
一般労働者の給与額は45万3445円(同3.2%増)、パート労働者は11万1842円(同3.8%増)とパートの伸びが大きかった。ただ、所定内給与の26万2347円(同2.1%増)に対してボーナスなどの特別給与が6万6192円(同6.9%増)となり、月例賃金の伸びの鈍いことがプラス転換できない理由になっていることがうかがえる。
また、従業員30人以上の企業に限れば実質0.1%増だったのに対して、同5人以上では0.2%減になったことから、零細企業の賃金が伸びなかったことが推測され、今春闘では中小・零細企業を中心にしたベースアップの攻防が一段と注目されそうだ。
総実働時間は月間136.9時間(同1.0%減)、常用雇用者は5081.5万人(同1.2%増)、パート比率は30.83%(同0.48ポイント増)だった。