ホワイトカラー中心の日本人材紹介事業協会(人材協、林徹郎会長)は29日、2025年東日本ブロック会・新年交歓会をリアルとオンラインのハイブリッドで開催した=写真・上。林会長は「直近の人材紹介の実績は過去最高となった。日本の人口動態に伴い、中高年齢層の転職支援がより重要度を増していくなか、質を高めて業界全体の底上げと価値向上につなげよう」と強調。昨年度から取り組んでいる人材協のあり方や職業紹介について考える「未来プロジェクト」について触れ、「AIを含むデジタル技術と雇用類似の斡旋に関する研究の2つを深めている。研究結果については会員各位に随時お伝えしながら、ガイドラインのような成果物にしていきたい」との意欲を示した。
人材協は、職業紹介ビジネスの事業価値の向上を目的として、事業者のあるべき姿や人材協のあり方、会員への支援機能などを検討する「未来プロジェクト」を創設しており、職業安定法に基づく許可事業の職業紹介とそれ以外の雇用仲介事業が近似してきていることから、法整備の提言なども含めて議論・検討している。
講演では、ビジネスリサーチラボの伊達洋駆社長が「AI活用に伴う心理的反応や人々への影響」、厚生労働省職業安定局需給調整事業課の中嶋章浩課長が「職業紹介事業の現状と課題」と題して登壇した。
伊達氏=写真・下=は、AIが人間の心理に及ぼす影響を分析。AIに対する態度が嫌悪感と過信の両極端に分かれる傾向があり、嫌悪感ではアルゴリズム(問題解決のための手順・計算方法)嫌悪、自動化バイアス、倫理的価値観、採用への影響などを解説した。そして、AIはあくまで自己判断のための補助ツールであり、求人企業も求職者もAIと「適切な距離感」を保ちながら判断する必要があると強調した。
中嶋氏は人材紹介事業に求人メディアの参入が著しくなった現状を踏まえ、2022年の職業安定法改正の趣旨を解説。雇用仲介事業に関する追加対応については、法令順守、募集情報等の提供、「闇バイト」緊急対策などの内容を説明し、業界に協力を求めた。
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