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2025年1月24日

派遣賃上げ「年間を通じて6%以上、過去最大の料金交渉を」 日本BPO協会の25年新春講演会・賀詞交歓会

n250124_1.jpg 製造請負・派遣事業の業界団体である日本BPO協会(清水竜一会長)は24日、都内で2025年新春講演会・賀詞交歓会を開催した。挨拶の中で清水会長は「賃上げの機運の高まりを受け止め、顧客企業としっかり交渉していくことが経済にとって重要」と強調。青木秀登理事長は、派遣社員を組織化しているUAゼンセンが25年春闘で掲げる「6%基準」を念頭に、「年間を通じて6%以上の賃上げに向けた料金交渉を」と呼び掛けた。派遣料金は春先だけでなく、契約更新時などのタイミングで派遣先企業と交渉する機会があるため、年間を通じて過去最大の賃上げを目指す=写真

 25年春闘で連合本部は要求水準を「5%以上」とし、中小労組は格差是正に向けて「6%以上」を掲げている。使用者側の経団連は「賃上げの定着には約7割の働き手を雇用する中小企業と、4割近くを占める非正規労働者などの賃上げが不可欠」と表明。政府も「賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現する」と、"三者共闘"の動きが加速している。

 また、清水会長は深刻化する人手不足の現状に言及し、「人材の数と同時に質の確保が重要」と指摘。「私たちの業界は人材難を受け身でかわすのではなく、時代の変化を先取りして産業界が求める人材を積極的に育成し、ニーズに応えていく必要がある」と、業界の果たす役割を指し示した。

 新春講演会では、厚生労働省職業安定局需給調整事業課の中嶋章浩課長が「労働力需給調整事業の現状と課題」と題して講演。この1年の人材サービス事業に関する法整備やトピックスなどを紹介したうえで、足元の就業者の特徴や傾向などについて図表を交えてわかりやすく説明した。派遣制度においては、法律で義務付けられている雇用安定措置の実施状況を解説し、派遣元によるキャリアアップ支援の重要性を説いて、労働市場の活性化に向けた更なる貢献を求めた。また、いわゆる「同一労働同一賃金」の関連法施行から5年を踏まえて2月から労働政策審議会でスタートする「検証・見直し議論」について触れた。

 続いて、マイナビ前社長の中川信行氏が「マイナビの急成長を支えた経営」と題して講演。時代の変化を捉えて迅速に対応し、新しい需要と市場を創造した体験談を披露した。


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