厚生労働省は22日、2024年度の派遣事業者「労使協定書」の記載状況について労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)に報告した。労働者派遣法では、派遣元に対して事業年度ごとの運営状況について報告書の提出を義務付けており、このうち賃金を含む待遇決定で「労使協定方式」を選択している場合は、「労使協定書」を添付することが必須となっている。
報告したのは、昨年6月1日時点で有効な「労使協定書」で、(1)選択している待遇決定方式 (2)労使協定書の賃金状況(職業別)(3)能力・経験調整指数の選択状況(4)地域指数の選択状況(5)通勤手当の支給状況(6)退職金の支給状況(7)昇給規定等の状況(8)締結主体・有効期間――について抽出調査で集計した。
それによると、「派遣先方式」を選択している事業所が7.7%(前年7.9%)、「労使協定方式」が90.5%(同88.8%)で圧倒的に後者が選択されている。「併用」は1.8%(同3.3%)。労使協定の締結主体は「労働組合」が2.7%(同5.6%)、「過半数代表者」が97.3%(同94.4%)。労使協定の有効期間は「1年」が86.4%(同84.2%)、「2年」が12.0%(同14.8%)、「3年以上」は0.3%(同1.0%)で、局長通達の更新が1年であることから、「1年」が主流だ。
「賃金改善の状況」については、「高度な就業機会」が75.1%(同72.8%)、「昇給」が57.1%(同57.0%)、「別手当の支給」が34.2%(同33.1%)、「その他」が6.3%(同3.3%)となっている。
また、この日の部会では、派遣法に基づき派遣元が「労使協定方式」を選んだ際に用いる本年度分の「一般賃金水準」のうち、ハローワーク統計の地域指数に誤りがあった問題で、労使協定の見直しなどを行う派遣元に対する「支援策」の進ちょく状況(昨年12月31日時点)を報告した。賃金額の引き上げや差額の支払いを実施または実施が確定している事業所は232(昨年9月30日時点は127事業所)、派遣労働者は2835人(同1242人)で、人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)の活用を含め、引き続き丁寧にフォローアップしていく方針だ。
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