「働き方改革関連法」に連なる同一労働同一賃金の法整備と運用規定などを検討した労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」が、2018年11月以来、約6年ぶりに再開する。8つの関連法のうち、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」を巡ってパートタイム労働法と労働契約法、労働者派遣法の「3法改正」について議論した会議体。20年4月の施行から5年経過する今年、改正法附則の見直し検討規定に基づき、施行状況や非正規労働者の現状を踏まえた議論を展開する。22日、労政審職業安定分科会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)で事務局の厚生労働省が報告した=写真。
「同一部会」の正式名称は、「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」。公益、労働者側、使用者側の委員は各6人ずつで構成され、雇用環境・均等局が窓口となって職業安定局と連携しながら運営する。
「同一部会」は2月上旬にも再開される見通しで、(1)「働き方改革関連法」に伴う改正後のパートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法の「均等・均衡待遇規定」など(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援(正社員転換等のキャリアアップ、無期雇用フルタイム労働者への同一労働同一賃金ガイドラインの考え方の波及)――の3点を軸に検討する。このほか、パートタイム・有期雇用労働法で定められている「短時間・有期雇用労働者対策基本方針」が今年3月末に運用期限を迎えるため、「同一部会」の議論を踏まえて雇用環境・均等分科会で検討する。
3月下旬にかけて労使関係団体や有識者等からのヒアリングを実施し、個別の論点について順次検討を進める方針。派遣法の規定や運用については、「需給部会」が主体となっていることから、「同一部会」での進行状況などは「需給部会」に速やかに報告され、連携を密にしていく。
この日、見直し議論の本格スタートについて労働者側委員は「雇用形態による賃金や待遇の格差は依然として存在している。派遣法においては派遣先均等・均衡方式と派遣元による労使協定方式が義務付けられているが、複雑な内容であるため実態把握と分析をしたうえで見直しを検討する必要がある」と指摘。公益委員は「労使協定方式を選択している派遣元が多数だが、その方が賃金を抑えられると考える会社が多いのではないか。また、運用の仕組み上、2年前の賃金水準が反映される形となっている」と課題を挙げたうえで「賃上げの流れと実態の乖離がないか。そして、労使協定方式をどのように変えていくかについてしっかり議論すべき」と強調した。
一方、派遣法を巡っては、19年6月から「需給部会」が12(平成24)年改正と15(平成27)年改正の見直し議論を開始。「日雇派遣の原則禁止」や「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」「派遣期間制限」「特定目的行為の禁止」など13項目のあり方について検討していたが、コロナ禍の影響もあって20年7月に「中間整理」で着地させている。この議論については......
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。
【関連記事】
労政審「同一部会」、1年7カ月にわたる議論の経過
「派遣2方式」の省令・指針に残る課題(2018年11月26日)