日本人材派遣協会は15日、定点調査の2024年度「派遣社員WEBアンケート調査」結果を発表した。それによると、時給は大都市圏で落ち着きをみせつつも地方では上昇が続いていることや、身につけたい専門的・技術的スキルとして「AI活用」がトップに立ったことなどがわかった。同調査は2007年度から毎年継続しており、「現在の就業状況」「賃金」「これまでのキャリアと今後のキャリア形成」「無期雇用への転換」などについて調査・分析し、派遣元の事業運営に役立てている。
東京・愛知・大阪の3大都市圏の賃金は、最も多い時給額が「1500円~1750円未満」で全体の4割強。前年から2.3ポイント増加し、次いで多いのは「1750円以上」の35.2%だったが、こちらは前年に比べて3.4ポイント減少。全体の平均額は前年より27円低い1670円となっている。また、3大都市圏以外の平均額は1396円で、3大都市圏との差額が274円。5年前の2019年の差額は341円だったので、地方の上昇が続いてその差は徐々に縮小している。
身につけたい専門的・技術的なスキルは、「AI・機械学習(例:ChatGPT、TensorFlow、PyTorch)の基本的な知識・活用スキル」が20.4%で最多。次いで「基本的な帳簿記録(日常の経理取引を正確に帳簿に記録するスキル)」が18.9%、「財務諸表の理解作成(損益計算書、バランスシート、 キャッシュフロー計算書などの基本的な財務諸表を読み解く・作成する能力)」が16.6%だった。また、有期契約者は無期契約者に比べて、経理・財務に関する項目で「基本的な帳簿記録」で6.5ポイント、「財務諸表の理解」で5.7ポイント多かった。
回答者の89.8%が女性で、年齢層は50~55歳未満が最多の19.4%、次いで45~50歳未満が16.5%で平均は45.3歳(前年度比1.4歳減)となっている。24年9月30日~11月14日に実施、派遣社員5245人の有効回答を集計した。
調査元の派遣協は、協会会員企業が集う新春セミナーと賀詞交歓会を1月21日に東京国際フォーラムで開催。交歓会では参加企業の業務担当者ごとに集まるテーブルを用意し、互いに業務の悩み事に関する相談や情報交換ができる場としても活用を図る。
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