厚生労働省が9日発表した毎月勤労統計調査の11月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は30万5832円(前年同月比3.0%増)で35カ月連続のプラスとなった。一方、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は86.0(同0.3%減)で、8月以来続くマイナスは4カ月連続となった。10月は速報値段階で0%だったが、確報値では0.4%減のマイナスになっている。賃上げが物価上昇に追い付かない事実が明白になっており、今春闘の行方が注目される。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万5082円(同2.7%増)で、冬ボーナスなどの特別給与も2万91円(同7.9%増)と大きく伸びたが、プラス転換にはつながらなかった。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は39万2121円(同3.0%増)、パートタイム労働者は11万2109円(同4.4%増)だった。
産業別で大きく伸びたのは、「鉱業、採石業等」の41万5479円(同12.2%増)、「生活関連サービス」の22万6208円(同7.6%増)、「電気・ガス」の49万2808円(同7.1%増)。全16産業でプラスだったが、雇用量の多い「製造業」は35万3044円(同1.2%増)、「飲食サービス業」も13万4328円(同4.0%増)にとどまった。
月間総実労働時間は140.4時間(同0.2%減)。月末の常用労働者数は5123.3万人(同1.0%増)で、パートタイム比率は30.89%(同0.17ポイント増)に上昇している。