東京商工リサーチが12日発表した「年収の壁」に関する企業調査によると、所得税の非課税上限の「103万円の壁」の解消については91.3%と圧倒的多数が賛成した。企業にとって年収の壁が労働力確保の壁になっており、103万円の壁の引き上げはパート労働者の働き控えを緩和して人手不足の解消が期待される。
一方、各種年収の壁の中で最も撤廃・緩和を望む壁は、社会保険の扶養対象基準となる「130万円の壁」が57.5%で最も多く、「103万円の壁」の48.2%を上回った(複数回答)。
仮に103万円の壁が引き上げられても、社会保険料の壁が残る限り、働き控えが収まらない可能性もあるため、企業にとっては130万円の壁の方が重要のようだ。ただ、社会保険の適用拡大は企業にとっても負担増になるため、物価高で収益悪化に苦しむ中小企業の反発は強い。
調査は2~9日に実施、全国5726社の有効回答を集計した。