東京商工リサーチが9日発表した11月の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は841件(前年同月比4.2%増)。負債総額約1602億円(同68.8%増)となり、件数は3カ月連続で前年同月を上回った。人件費の高騰に加え、物価上昇による原材料などのコスト増を価格転嫁できない「物価高」倒産が増えている。
負債額は4カ月ぶりに前年同月を上回った。急増の原因は、上場企業で今年初の倒産となった素材メーカーの日本電解など、負債100億円以上の大型倒産が2件発生したこと。同50億円~100億円未満も3件発生したことなどによる。
これで年間累計件数は9164件(前年同期比16.3%増)となった。すでに昨年1年間の8690件を上回っており、このペースで増えると11年ぶりの年間1万件超えが視野に入る。同社は「書き入れ時の年末も、コロナ禍からの業績回復の遅れた企業には正念場。倒産は緩やかな増勢をたどる可能性が高い」と予測している。