厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計調査の10月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は29万3401円(前年同月比2.6%増)で34カ月連続のプラスとなった。一方、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は82.9(同0.0%)で、8、9月と続いたマイナスからは3カ月ぶりに抜け出した。
実質賃金は夏ボーナスの寄与で6、7月と2カ月連続でプラス転換したが、ボーナス効果が消えた8、9月と再びマイナスに戻り、賃上げが物価上昇に追い付かない事実を見せつけた。ただ、マイナス幅は縮小してきており、11月以降のプラス転換が期待される。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万5537円(同2.7%増)で、残業代などの所定外給与も2万341円(同1.4%増)に増えたものの、プラス転換につながらなかった。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は37万4654円(同2.6%増)、パートタイム労働者は10万9806円(同3.3%増)だった。
産業別で大きく伸びたのは、「鉱業、採石業等」の33万6997円(同9.9%)ぐらいで、「電気・ガス」の49万588円(同5.5%増)、「学術研究等」の44万2828円(同4.7%増)が続いた。全16産業のうち、マイナスは「複合サービス業」の31万1815円(同2.4%減)だけで、名目賃金のプラス基調は定着している。
月間総実労働時間は139.8時間(同0.5%減)。月末の常用労働者数は5111.1万人(同1.0%増)で、パートタイム比率は30.75%(同0.20ポイント増)とやや増えた。