適正な製造請負の管理体制や実施能力を有する事業者を認定する製造請負優良適正事業者の認定制度(GJ認定)について、製造請負事業改善推進協議会は4日、2024年度のオンラインセミナーを開いた。請負事業者(派遣元)と発注メーカー(派遣先)の担当者ら約200人が、同協議会会長で東洋大学名誉教授の鎌田耕一氏の講演や認定取得事業者による事例紹介を通じて、現場視点とコンプライアンスを軸とした製造請負事業の要所や「GJ認定」の価値と意義について学んだ=写真・上。
「製造請負優良適正事業者認定制度(GJ認定)」は、製造業の請負事業にかかわる体制の向上と雇用管理の改善などを目的に、厚生労働省が2010年度から実施し、運営を委託している事業。発注者と働く人の双方にとって、請負事業者を選択する際の「判断基準の指標」として設けられた。認定の質の維持・確保のために3年ごとの更新。請負ガイドラインに基づき、「経営方針」「ものづくり力」「ひとづくり力」「労働者保護」の4分野・81項目の審査基準が設定されており、審査機関が書類審査と現地審査を実施して判定している。
この日のセミナーでは、鎌田氏が「キャリアを活かす労働市場改革と製造請負事業の発展」と題して基調講演=写真・下。政府が掲げる「労働市場改革」の意図や狙いを解説し、「キャリア形成」をキーワードにデータを用いながら製造請負事業への影響などについて説いた。この中で、製造請負従事者の労働移動の特徴や傾向などを分析したうえで、「事業者側からキャリア面談やキャリアパスの提示を丁寧に実施することが重要。人材育成に積極的に取り組んでいる企業が人材採用でも優位な状況にある」と強調した。
続いて、昨年度「GJ認定」を取得したジェイティプラントサービス(本社・東京都)が「『人財』が源泉、『GJ認定』で高度な製造請負を確認・共有~キャリア成長支援の可視化と開示」と題して。また、制度開始の初年度に取得している平山(東京都)が「GJ認定を活用した人材育成」と題して、自社の具体的な取り組みや挑戦を紹介した。
同協議会では毎年度、認定事業者のインタビューを掲載した「好事例集」を作成しており、ジェイティプラントサービスと平山は本年度の好事例企業として登場している。
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