東京商工リサーチが29日発表した「人材派遣業」業績動向調査によると、全国1497社の2023年度売上高は約4兆6624億円(前年度比6.0%増)だったが、最終利益は人材確保や事務コスト上昇などで1508億円(同7.5%減)の増収減益となった。新型コロナ後の21年度から2年連続の増収増益だったが、その勢いに陰りが出てきた。
8割の1191社が黒字を確保したが、残る20.4%の306社は赤字で、21年度の17.6%から2.8ポイント上昇。また、売上高が100億円以上の69社の売上高が約3兆円と66%、利益も1133億円と75%を占めるなど、一部大企業による寡占化がさらに進んでいる。
一方、倒産は78社、休廃業は232社の計310社で、新設法人の800社余を大きく下回った。この傾向は10年連続で、同社は「新規参入の増加が過当競争を招く市場環境にある」と分析している。