東京商工リサーチが6日発表した「訪問介護事業者」の倒産動向調査によると、今年1~10月で72件に達し、昨年1年間の67件を上回って過去最高となった。このペースが続くと年間では80件を上回る可能性が高い。ヘルパー不足や運営コスト増などが主要因とみられる。
72件のうち、個人事業を含む資本金1000万円未満が61件、従業員10人未満が68件を占めており、小規模・零細事業者が大半であることが鮮明になっている。訪問介護はガソリン代の高騰などで運営コストが上昇していたうえ、今年の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられたことも響いた。
このままでは必要な自宅を訪問する生活支援サービスの提供がむずかしくなりそうだ。地域包括ケア制度の柱でもある訪問介護事業者の苦境は、制度崩壊を促進しかねない状況を招いており、同社は「事業者支援が行き届かなければ、倒産増に歯止めが掛からなくなる」と警告している。