帝国データバンクが23日発表した「最低賃金(最賃)と採用時の最低時給に関する企業の実態調査」によると、正社員、非正規社員を問わず採用時の最低時給は平均1167円で、今年の平均最賃の1055円を112円上回ることがわかった。
調査は最賃改定前の9月13~30日に実施。全国2万7093社のうち1万1188社から得た有効回答を集計した(回答率41.3%)。
業種別で最も高いのは「金融」と「不動産」の1261円で、「建設」が1249円、「サービス」が1208円など。平均を下回ったのは「農林・水産」の1041円、「小売り」の1071円、「製造」の1104円。
地域別で最も高いのは東京都の1340円で、唯一の1300円台。次いで神奈川県の1277円、大阪府の1269円、愛知県の1208円など、大都市を抱える都府県が並んでいる。
一方、青森県は984円、秋田県は990円、鹿児島県は991円と改定最賃こそ上回っているものの、1000円台を下回った。改定最賃では地域間格差を縮小する方向で決まったが、実態は格差が拡大しているようだ。
企業側では、物価上昇が続く中で「従業員の給料を上げることで消費を促す必要がある」といった声がある一方、「年収130万円の壁を超えないようにするため、労働時間を意図的に抑える従業員が増え、人手不足が加速する」という声も多数寄せられているといい、同社は「政府は最賃引き上げを続けるだけでなく、人手不足や価格転嫁への対応、社会保障制度の改定など、経営がひっ迫しないような政策を打ち出していく必要がある」と指摘している。