パーソル総研と中央大学は17日、2035年の日本の労働力不足が1日あたり約1775万時間、働き手に換算すると約384万人分に相当するとの推計を発表した。働く高齢者などで就業者は増えるものの、働き方改革などで労働時間が減ることから、労働力不足は23年比で1.85倍に拡大する。
就業者数は高齢者や女性の就労が進むことで23年の6747万人から7122万人に増え、このうち外国人は205万人から377万人に増える。しかし、1人あたりの年間労働時間は1850時間から1687時間に減少。これを1日あたりの就業者全体の労働時間に換算すると、3億4697万時間の需要に対して供給は3億2922万時間となり、両者の差の1775万時間、就業者で約384万人の不足と23年の1.85倍に上昇するとみている。
産業別ではサービス業、卸・小売業、医療・福祉の不足が顕著で、職業別では事務従事者、専門・技術職従事者、サービス従事者などが大きく不足する見通し。この見通しについて同社は「就労調整の緩和、副業の拡大、生成AI(人工知能)の活用などによる生産性の向上」を挙げている。
同調査では「人手不足」と「労働力不足」を区別し、短時間労働者が増える労働時間も考慮して推計。労働人口は国立社会保障・人口問題研究所の推計、経済成長は内閣府の「ベースラインケース」を基に試算した。18年に発表した「2030」のアップデート版で、5年に1度のペースで更新する。
【関連記事】
12年後の人手不足644万人、パーソル総研と中央大の共同研究
介護離職防止や能力開発の支援強化を提言(2018年10月23日)