厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計調査の8月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は29万6588円(前年同月比3.0%増)で32カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は84.1(同0.6%減)となり、3カ月ぶりにマイナスに戻った。
実質賃金は6月が同1.1%増、7月が同0.3%増と2カ月連続のプラスとなったが、これは夏ボーナスの伸びによる部分が大きく、ボーナス効果が消える8月以降の動きが注目されていた。再びマイナスになったことで、大企業を中心にした大幅賃上げの波が中小企業にまでは及ばず、物価上昇に追い付かない構造が依然として続いていることが推定される。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万4038円(同3.0%増)で、ボーナスなどの特別給与は1万2951円(同2.7%増)。ただ、所定内給与に残業代を加えた「決まって支給する給与」はまだ実質0.5%減で、月例賃金のプラス転換には届いていない。マイナス幅はこれまでの1%から縮小した。
雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は37万7861円(同2.7%増)、パートタイム労働者は11万33円(同3.9%増)だった。
産業別で大きく伸びたのは「電気・ガス」の48万1834円(同5.5%増)と「生活関連サービス」の21万6848円(同5.5%増)。「教育、学習支援」が30万960円(同0.1%増)で最も低かったが、賃上げ効果で全16産業の名目賃金はプラスとなった。
月間総実労働時間は132.6時間(同0.9%減)。月末の常用労働者数は5106.6万人(同1.2%増)で、パートタイム比率は30.40%(同0.06ポイント増)だった。