帝国データバンクが26日発表した「価格転嫁に関する実態調査」によると、今年2月と7月の半年間で価格転嫁率が「拡大した」企業は3割程度にとどまり、半数近くが「横ばい」のままだったことがわかった。物価上昇に伴うコスト上昇をどれだけ取引価格に転嫁できるかは、従業員の賃上げなどにかかわってくることから、政府は「適正な転嫁」を指導しているが、実態はそれほど進んでいないようだ。
2月と7月に回答した企業7675社について分析した結果、価格転嫁率が「拡大した」企業は32.4%で、「横ばい」が46.7%、「縮小した」が20.8%の割合。「拡大」した企業の転嫁率は「2割未満」から「2割以上~5割未満」が7.4%で最も多かった。逆に、「縮小」した企業は「8割以上」から「5割以上~8割未満」が最多の4.2%だった。
一方、2月、7月とも「まったく転嫁できていない」企業は50.5%と半数にのぼったが、残る49.5%は「多少なりとも転嫁できている」ことがわかった。ただ、最も多い転嫁率は「2割未満」の28.8%で、「2割以上~5割未満」が11.3%となり、転嫁できる環境は好転しつつあるものの、取引先や消費者の客離れを危惧することもあって、思うように転嫁が進まない状況も浮き彫りになっている。