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2024年9月17日

職安法の改正省令案要綱など「いずれも妥当」、労政審需給制度部会 「就職お祝い金」禁止の実効性確保狙い厚労省 求人メディアも対象に来年4月施行

n240917_2.jpg 雇用仲介事業者が求職者に金品を提供して転職を促す行為に歯止めをかけるため、厚生労働省は17日、職業安定法の改正省令案要綱などを労働政策審議会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)に諮問。同部会は、職業紹介事業者をはじめ、新たに適用対象となる募集情報等提供事業者(求人メディア)への周知徹底と実効性確保を求めて「いずれも妥当」とした=写真。近く開かれる上部組織の労政審職業安定分科会に諮り、正式に答申される運び。改正は来年4月1日施行だが、職業紹介事業者の許可条件の項目追加は来年1月1日から進める方針だ。

 2017年の改正職安法に基づく指針には「適正な宣伝広告等に関する事項」があり、「求職の申し込みの勧奨にあたって、職業紹介事業者が求職者に金銭等を提供することは好ましくない」と記されている。しかし、「好ましくない」では改善されず、2021年4月の指針見直しで「職業紹介事業者が『お祝い金』、その他これに類する名目で求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供し、求職の申し込みを勧奨してはならない」と書き加えて禁止した。それでも、人材難が顕著な医療・介護・保育を営む事業者などから雇用仲介事業者の金品提供による転職勧奨の指摘が止まないため、今回の追加的対応でもう一段「法的拘束力」を上げる。

 一連の経緯を踏まえて厚労省は、「人と仕事を結びつける雇用仲介を営む以上、共通して順守すべき基本ルールがある」ことを大前提とし、主に職業紹介事業者と募集情報等提供事業者といった雇用仲介事業者に課している「現行ルールと規定」を整理。そのうえで、禁止規定が指し示す範囲が「事業者のサービスの全プロセスを網羅している」ことを念押し。さらに、金品提供が「好ましくない」ことを基本線としつつ、「社会通念上相当と認められる程度」について、「それを超えるか否かは額や誘因効果など労働市場に与える影響を総合的に判断する」との考えに立っている。一方で、「金品提供によって需給調整機能を歪める行為を防ぐ」という追加的対応の趣旨に照らして、募集情報等提供事業には禁止規定に該当しないケースも具体的に示した。

 主な改正のポイントは、「法令順守徹底のためのルールと施行の強化」として、(1)お祝い金・転職勧奨禁止を職業紹介事業の許可条件に加える(違反が継続・反復する場合は許可取り消しの対象)、(2)募集情報等提供事業(労働者の登録から就職・定着までの全ての過程)に対しても職業紹介事業と同様の禁止規定を設ける。これらは、医療・介護・保育の3分野を含む事業全体に対する措置となる。

 また、「お祝い金」に該当しないケースも新たに整理。(1)提供するサービスの質の向上を図るため、サービス利用者からアンケートへの回答を求める場合に抽選による少数者に対して500円程度の電子ギフト券等を提供、(2)イベント来場者を確保するため、転職フェアへの来場及びブース訪問者に500円程度の電子ギフト券等を提供――を挙げた。

 「雇用仲介事業の更なる見える化」の視点からは、(1)職業紹介事業者の手数料実績の公開義務化(省令改正で職種ごとの常用就職に係る平均手数料率の実績を人材サービス総合サイトに開示するよう規定)。ただし、各事業者の取り扱い上位5職種に限るほか、定額制の事業者は率に代えて額を開示、(2)募集情報等提供事業者の利用料金・違約金規約の明示義務化。違約金規約の明示は職業紹介事業者にも求める。これらも医療・介護・保育の3分野を含む事業全体に対する措置とする。

 「ハローワークの機能強化」については、医療・介護・保育分野での人材確保を支援する専門窓口の体制整備、ハローワークインターネットサービスの操作性の改善などオンラインサービスの充実、求人充足と職場定着のための雇用管理改善の支援などを実施する。これは、医療・介護・保育の3分野が中心となる。

 この日の部会では...


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