厚生労働省は4日、2023年度「使用者による障害者虐待の状況」を発表した。それによると、虐待の通報・届け出のあった事業所は1512事業所(前年度比22.9%増)、虐待の対象となった障害者は1854人(同29.4%増)とどちらも大幅増。そのうち、虐待が認められたのは447事業所(同4.0%増)、761人(同16.0%増)だった。
通報・届け出件数、障害者数ともこの5年間の最高で、実際に虐待が認められた事業所は19年度の535事業所、771人に次ぐ水準だった。
虐待に遭った障害者の障害種別は知的障害者が265人、精神障害者が254人、身体障害者が134人など。虐待の内容は「経済的虐待」が659人で全体の8割を占め、「心理的虐待」が71人、「放置等」が42人など(いずれも重複計上あり)。
就労形態では「パート・アルバイト」が456人、男女別では「男性」が482人でいずれも6割前後を占めた。事業所の業種では「医療、福祉」が最多の119事業所で27%に達し、規模別では「5~29人」の小規模事業所が半数近い213カ所を占めた。
障害者虐待は「障害者虐待防止法」によって厳禁。「経済的虐待」は障害者に対する時間外給与の未払い、最低賃金以下の支払いなどを意味し、毎年、虐待の大半がこれに該当している。