東京商工リサーチが21日発表した「最低賃金引上げ調査」によると、今年の最低賃金(最賃)改定に伴い、「給与を見直す」企業は4割に上り、10月以降の改定予想額を下回る企業が2割近くあることがわかった。
今年の最賃が目安額の50円アップになった場合、給与を変更するかどうか聞いたところ、「引き上げ後の時給より高いので変更しない」が最多の59.6%だった。次いで、「引き上げ後より高いが、さらに引き上げる」が21.1%、「引き上げ後より低くなるので、最賃と同額まで引き上げる」が11.8%、「最賃を超える水準まで引き上げる」が7.5%あった。
引き上げを予定している企業は40.4%だが、企業規模別では大企業(549社)の32.8%に対して、中小企業(4957社)は41.2%に上り、中小の比率が高い。また、引き上げ後の最賃を下回っている企業は19.2%あり、10月以降の引き上げを目前に迫られていることがわかった。
最賃の上昇に対する対策としては、「商品・サービスへの価格転嫁」が48.6%で最も多く、「設備投資による生産性の向上」が26.7%、「雇用数を抑制」が16.8%、「雇用形態の変更」が14.6%など。「対策はない」とお手上げの企業も18.4%あった(複数回答)。
調査は1~13日に実施、5506社の有効回答を集計した。資本金1億円以上を大企業、同1億円未満を中小企業に区分している。