東京商工リサーチが20日発表した「賃上げに関する調査」によると、今年は84.2%(前年比0.6ポイント減、5810社)の企業が賃上げを実施したが、大企業の94.0%(同4.1ポイント増、747社)に対して、中小企業は82.9%(同1.3ポイント減、5063社)となり、企業規模の格差が拡大していることがわかった。同社は「中小の"賃上げ疲れ"がうかがえる」と分析している。
実施率が最も高い業種は製造業の89.6%で、「2024年問題」に直面した運輸業が88.9%、建設業が88.6%で続いた。運輸業は同6.6ポイント上回った。逆に、最も低いのは不動産業の62.9%だった。
賃上げの内容は「定期昇給」が74.2%(同1.1ポイント減)で最も多かったが、「ベースアップ」は61.4%(同5.0ポイント増)と3年連続で過去最大を更新した(複数回答)。
賃上げ率(年収換算ベース)で最も多いレンジは「5%以上~6%未満」の26.8%。「3%以上~4%未満」が25.6%、「2%以上~3%未満」が13.1%で続いた。「5%以上」を合わせると42.6%(同6.3ポイント増)に上っているが、ここでも大企業の44.4%に対して中小企業は42.4%と大企業優位。賃上げ率の中央値は4%だった。
調査は1~13日に実施、6899社から有効回答を得た。資本金1億円以上を大企業、同1億円未満を中小企業に分けた。