多様化する働き方に対応した労働基準法などの見直しを検討する厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」(荒木尚志座長)は20日、第11回会合を開き、主要テーマのうち、前回(7月31日)に引き続き「労働時間、休憩、休日・年次有給休暇」について議論を続行。とりわけ、「法定休日制度」「勤務間インターバル制度」「年次有給休暇制度・休暇」「割増賃金規制」の4項目を掘り下げた。委員の意見や方向性がおおむね一致するテーマもあった一方で、「勤務間インターバル制度の義務化の有無」などについては見解に相違がみられ、活発な議論が展開された=写真。
同研究会は、経済学者らによる「新しい時代の働き方に関する研究会」(今野浩一郎座長)の報告書を引き継ぐ形で今年1月に発足。労働政策審議会の議論にのせる"前段"となるテーブルで、有識者「第2弾」の同研究会は主に法律の専門家らで構成され、次の時代の労基法を見据えた幅広い議論を展開している。主要テーマとして「労働時間法制」「労基法上の事業」「労基法上の労働者」「労使コミュニケーション」に焦点があたっている。
この日の議論で特筆されるのは、第2回会合(2月21日)と第7回会合(5月10日)でもテーマとなった「副業・兼業の場合の割増賃金の通算のあり方」で、委員の見解としては「健康確保のために労働時間の通算は必要だが、割増賃金は必要ない」「割増賃金からスタートする人が同じ職場にいるのは、雇用する側にも働く人にも壁になっている」など、現場実態に照らした意見が聞かれ、働き方が多様化する中で現行制度では実効性が乏しいとの指摘が挙がった。
荒木座長も自身の研究を踏まえて「EU各国では使用者が異なる場合にそもそも労働時間を通算しない。通算する国でも健康確保のための通算であり、割増賃金について通算していない」と解説した。また、健康確保としての通算についても、超過している人に誰がどのような指導、対応をするのかなど課題が浮き彫りになった。
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