連合は19日、「働き方改革の定着状況に関する調査2024」を発表した。19年施行の働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制、年次有給休暇5日の取得義務化などが盛り込まれ、勤務間インターバルも導入が努力義務化されたが、今年が施行5年になることから、定着状況を聞いたもの。5月30~6月3日に実施、15歳以上の男女労働者1000人の有効回答を集計した。
時間外労働の上限規制については、「よく知っているが」が37.3%、「少し知っている」が31.6%で計68.9%。しかし、「聞いたことはあるが、知らない」が19.4%、「聞いたこともなく、知らない」が11.7%で、計31.1%と3割以上あった。
有休5日取得については、「内容を知っている」と「少し知っている」の76.4%に対して、「あまり知らない」と「全く知らない」は23.6%にとどまった。ただ、勤務先に労働組合のある人は「知っている」が85.5%に上り、労組の役割がうかがえた。
また、勤務間インターバルについては努力規定であることから、「知っている」は38.4%にとどまり、「知らない」の61.6%を大きく下回った。ただ、ここでも労組のある人の理解率は51.6%と過半数を占めた。
一方、会社が社員に残業を命じるには「36協定」が必要になるが、これを「知っている」人は49.2%足らずで、「知らない」の50.8%を下回った。月の平均残業時間は「10時間未満」が最多の50.4%で、平均は17.7時間だった。業種では「教育・学習支援」が30.4時間で最も長く、"24年問題"を抱える「運輸・郵便」が23.5時間、「建設」が20.1時間で続いた。
不払い残業(サービス残業)については、28.4%が「ある」と回答しており、ここでも「教育・学習支援」が最多の50.0%に達している。平均は16.9時間で、理由は男性が「自分の考えで申請しない」、女性は「申請しにくい雰囲気がある」が最多だった。
こうした結果について、連合は「36協定の認知度の低さや不払い残業など、課題が浮かび上がった。政府が進めている見直し作業に労基法を緩和するような議論もあるが、労働時間ルールについては緩和でなく、労働者保護の視点が重要」とコメントしている。