東京商工リサーチが17日発表した「2024年問題」に関する影響調査によると、過半数企業が「マイナス」と答え、具体的には「利益率の低下」の多いことがわかった。24年問題は建設業や運輸業などで時間外労働の上限規制が4月から適用されたものだが、実施前から予想されていた影響は業種を超えて広がっていることが改めて明らかになった。
マイナスの影響を回答した企業は「大いにマイナス」が13.9%、「どちらかと言うとマイナス」が41.3%で合わせると55.3%の過半数を占め、「あまり影響ない」の41.8%を上回った。ただ、マイナス影響は前回調査の61.9%から6.6ポイント減少しており、何らかの対策を施している企業があったことを示している。
マイナス影響の比率の多い業種は「パルプ・紙・紙加工品製造」の85.7%が最も多く、それ以外は70%台にとどまった。逆に、プラス影響の多い業種は「道路貨物運送」の12.5%が最多だった。
具体的なマイナス影響は「物流・建設コストの増加による利益率の悪化」が71.4%でダントツに多く、稼働率低下による「納期の見直し」や「利益率の悪化」が20%台となった。(複数回答)
この結果について同社は「これまでは下請け側の自助努力に任せてきた側面があったが、発注側も大手企業などを中心に、効率化や負担軽減への取り組みを進める企業が増えている。建設・運輸企業の市場退出を抑制し、産業全体で取り組みを進めることが必要」と解説している。
調査は3~10日に実施、5099社の有効回答を集計した。同調査は昨年10月に続いて2回目。