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2024年6月14日

「育成就労創設」「永住許可適正化」の改正関連法が可決・成立、参議本会議 「選ばれる国」実現に向け法整備、2027年運用開始

 「技能実習」に代わる「育成就労」創設や永住許可の適正化を柱とする出入国管理・難民認定法と技能実習適正化法の改正法が14日、参議院本会議で賛成多数で可決・成立した。実態として労働力確保に利用され、国際社会から人道的な批判もあった技能実習制度を廃止し、外国人材の「確保と育成」を目的とする実態に即した制度への転換を目指す。公布後3年以内の施行となり、新制度は2027年の運用開始が見込まれる。

 制度の見直しによって、「育成就労」の原則3年間で「特定技能」の水準にまで育て、スムーズな移行につなげたい考え。受け入れる分野は「特定技能」にそろえ、現在は原則として認めていない別の企業などに移る転籍(転職)を一定の要件のもとに認める。また、永住者が故意に納税や社会保険料の納付を怠った場合に永住許可を取り消すことができるようにしたが、衆参の付則で「取り消す際には生活状況などに十分配慮する」ことが盛り込まれた。

 このほか、技能実習制度で外国人の受け入れと企業の仲介を担ってきた監理団体は、「監理支援機関」に名称変更して外部監査を強化。違法に雇う雇用主の「不法就労助長罪」を厳罰化した。改正法は、与党の自民・公明と野党の日本維新の会、国民などの賛成多数で可決・成立。立憲や共産、れいわ新選組などは反対した。

 小泉龍司法相は、「あらゆる分野に影響が大きい重要な改正であり、施行まで3年あるものの、できるだけ早くガイドラインを作成するなど具体化を進め、多くの人たちの疑問や不安にこたえていく」と強調し、「衆参の国会審議で指摘された点を十分に踏まえながら、一層の取り組みを進めていく」と述べた。

【資料・最新版】
改正法の概要


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