厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計の4月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は29万6884円(前年同月比2.1%増)で28カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は85.6(同0.7%減)で25カ月連続のマイナスとなり、過去最長を更新し続けている。
大幅な物価上昇によって実質賃金は23年1月の同4.1%減を最大にマイナスが続いていた。今年になってもプラス転換せず、今春闘で相次いだ大幅賃上げの効果が出る4月もマイナスのまま。ただ、マイナス幅は1%以内に縮小しており、賃上げ効果が表れてきたとみられる。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万4503円(同2.3%増)で、残業代などの所定外給与は2万181円(同0.6%減)。ボーナスなどの特別給与は1万2200円(同0.6%増)だった。所定内給与は賃上げ効果でかなり伸びた。
雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は37万8039円(同2.0%増)、パートタイム労働者は10万8358円(同2.0%増)となった。
産業別で伸びが大きかったのは「建設」の39万2943円(同5.7%増)、「金融・保険」の41万6944円(同5.3%増)ぐらいで、「鉱業・採石等」は31万7782円(同10.5%減)、「不動産・物品賃貸」も35万6675円(同2.6%減)のマイナスだった。
月間総実労働時間は141.9時間(同0.7%減)。月末の常用労働者数は5064.3万人(同1.2%増)で、パートタイム比率は29.86%(同0.00ポイント)だった。