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2024年5月29日

約6割で職安法違反、医療・介護・保育分野の職業紹介事業者 「お祝い金」禁止の実効性確保策など検討、労政審で省令・指針改正の議論開始

n240529.jpg 厚生労働省が29日公表した医療・介護・保育分野の職業紹介事業者に対する「集中指導監督実施状況」(5月時点)によると、実施した1152事業所のうち約6割にあたる716事業所で帳簿書類未整備などの職業安定法違反が見つかった。紹介事業者が「お祝い金」名目で求職者に金銭などを提供する転職勧奨は指針で禁止されているが、数万円分の旅行券や数千円の電子ギフトカードを支給する違反行為もあった。厚労省は同日開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)に実施状況と指導事例を報告し、禁止規定の実効性確保に向けた職安法の省令・指針改正の検討に入った=写真

 「お祝い金」など転職勧奨につながる禁止規定について、厚労省は昨年8月から特に人手不足が深刻な医療など3分野を扱う紹介事業者を対象に集中指導を実施している。今年5月までの集計で、お祝い金に関する指導は25件、転職勧奨防止に向けた書類未整備は205件、返戻金の明示義務違反は273件。このほか、昨年2月に都道府県労働局に設置した「医療等3分野・特別相談窓口」に寄せられた声のなかには「手数料や返戻金の内容の明示がなかった」「キャンペーンと称して金品を提供する旨の広告が出ている」といった苦情があった。「お祝い金」に類似した苦情は、紹介事業者だけでなく、現在は禁止対象となっていない募集情報等提供事業者(求人メディア)に対しても散見された。

 指導監督状況を踏まえて厚労省は、今後の対応策として(1)法令順守徹底のためのルールと施行の強化(お祝い金・転職勧奨禁止の実効性確保、募集情報等提供事業に係る対応)、(2)雇用仲介事業の更なる見える化(職種ごとの紹介手数料実績の見える化、違約金等に係るトラブルへの対応)、(3)公的部門における職業紹介機能の強化(ハローワークの機能強化 )――の論点項目を同部会に提示し、公労使が検討を開始した。(1)と(2)は3分野以外も含む事業全体を念頭に置いており、(3)は3分野を中心としている。同部会では、次回以降も省令・指針改正につながる具体的な対応について議論を続ける。

 また、同部会で厚労省は、労働者派遣法に基づき派遣元が「労使協定方式」を選んだ際に用いる「一般賃金水準」の一部訂正について報告。職業安定局長のお詫びに続いて、派遣元が賃金引き上げの労使協定見直しを実施する場合の経費負担策を示した。雇用保険二事業を活用する支援策で、厚労省は委員から挙がった指摘や要望を反映して丁寧に細部を詰めていく方針だ。

 この日の会合では...

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