厚生労働省は24日、労働者派遣法に基づき派遣元が「労使協定方式」を選んだ際に用いる本年度分の「一般賃金水準」について、一部訂正して公表した。訂正部分は現場で広く使われているデータではないが、厚労省は各都道府県労働局を通じて派遣元に周知するとともに、事業者への支援策も講じる考えだ。
いわゆる「同一労働同一賃金」に伴う2020年4月施行の改正派遣法は、派遣労働者の賃金や待遇について「派遣先均等・均衡」(派遣先方式)か「派遣元による労使協定」(労使協定方式)のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を採用した場合には、局長通達として毎年示す一般賃金水準(職種別平均賃金・地域指数)より「同等以上」であることが要件となる。運用されている賃金水準の基になっているのは、「職業安定業務統計」(ハローワーク統計)と「賃金構造基本統計調査」(賃構統計)の2種類。
今回の訂正は、このうちの「ハローワーク統計」の地域指数に関するもので、434所分のうち275所に誤りがあった。これに伴い、本来より低く算定していたのが121所、高く算定していたのは154所。厚労省によると、ハローワーク別地域指数の算定に必要なデータをシステムからダウンロードして集計ソフトに移す際、集計には用いない東京労働局管内の付属施設のデータを1カ所削除しなかったため、神奈川労働局管内ハローワーク以降の集計において、1行ずれた欄の数値が集計されて算定に誤りが生じた。
厚労省は、派遣元が締結している労使協定に基づく賃金が訂正後の水準に満たない場合、賃金引き上げの協定見直しを要請。これを受けて賃金制度の整備・改善を実施する派遣元については、取り組みを支えるための支援策を講じる考えで、近く労働政策審議会に方策を提示する。また、集計作業における再確認体制や繁忙期におけるサポート体制を確保するなどの再発防止策を徹底する。
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