厚生労働省が23日発表した2023年度毎月勤労統計調査(従業員5人以上、年間平均)によると、現金給与総額は33万2533円(前年度比1.3%増)と3年連続の増加となったが、物価上昇分を差し引いた実質賃金(20年=100)は97.1(同2.2%減)となり、22年度の1.8%減に続く2年連続のマイナスで、下落幅も拡大した。
物価高に賃金上昇が追い付かない状況が続いたわけで、2.2%の落ち込み幅は消費増税の影響を受けた14年度の2.9%に次ぐ水準。
就業形態別では、正社員が中心の一般労働者は43万8696円(同1.7%増)、パートタイム労働者は10万5989円(同2.4%増)。給与の内訳は基本給の所定内給与が25万3534円(同1.3%増)、残業代などの所定外給与が1万9074円(同0.3%減)、ボーナスなどの特別給与が5万9925円(同1.6%増)となった。
月間実労働時間は働き方改革の浸透などで136.3時間(同0.4%減)。期末の常用雇用者数は5193.3万人(同1.8%増)で、パートタイム比率は31.93%(同0.60ポイント増)。入職率は2.13%(同0.04ポイント増)、離職率は2.00%(同0.01ポイント増)となり、入職率が離職率を上回ったが、その中心はパートの増加だったことが推測される。
現金給与総額で最も高かった産業は電気・ガス業の56万8363円(同1.1%増)で、最も低かったのは飲食サービス業等の13万2652円(同0.6%増)。最も伸びた産業は不動産・物品賃貸業の42万1251円(同6.6%増)で、16産業中、鉱業・採石業等だけが41万914円(同7.8%減)のマイナスとなった。しかし、人手不足が深刻な医療・福祉は30万3130円(同0.2%増)の微増にとどまり、低水準のまま推移した。