製造請負・派遣事業者の業界団体、日本BPO協会(清水竜一会長)は21日、都内で2024年定時総会を開き、受け入れ制度が転換の過渡期にある外国人材の活躍支援やポリテクセンターと連携した設備保全分野の人材育成、優良で適正な製造請負事業者の育成などを積極的に展開していくことを確認した=写真上。
本年度は「第1期中期事業計画(2022年~24年度)」の最終年度で、これまでの成果を踏まえつつ、第2期計画の策定を進める。同計画に基づく活動として本年度は、(1)キャリア形成に役立つキャリア面談の推進(2)ポリテクセンターと連携した人材育成(3)領域拡大分野での会員拡大の推進(4)支部設立推進による会員サービスの拡充――の4つを柱に引き続き実施する。このほか、政策立案と情報発信の充実などに取り組む。
また、23年12月に立ち上げたエンジニアリング部会について、各社の共通課題である採用・定着・育成への対応方策について情報交換を行い、部会としての具体的な事業展開を検討する方針だ。清水会長は「起こりうる変化と課題にしっかりと向き合い、業界団体としてチャレンジしていく必要がある。現場の実態を踏まえ、政府や行政に打開策を働きかけていくことも重要だ」と述べた。総会では、同協会の田畑一雄顧問とシグマテックの和田隆大専務を新たに理事に選任。また、永年会員表彰が行われ、30年以上、20年以上、10年以上の刻みで計8会員企業を表彰した。
総会後の講演会=写真中=では、厚生労働省民間人材サービス推進室の吉村賢敏室長が「労働力需給調整事業の現状と課題」と題して講演。最近の労働市場の動向や職業紹介事業と募集情報等提供事業(求人メディア)に関する動き、派遣制度や「三位一体の労働市場改革」などについて解説した。
続いて、一般財団法人外国人材共生支援全国協会(略称NAGOMi)会長の武部勤氏(元衆院議員)が、「信頼され選ばれる国になるために」~外国人材受入れに当たっての提言~というタイトルで講演=写真下。アジアの安定と日本の持続的成長のために、模範的な人材育成と確保のシステム構築を「国家プロジェクト」として取り組む必要性を説いたうえで、国会で審議中の「育成就労」創設法案や連動する「特定技能」について現場視点から提言。風評に基づくものではなく、大規模で多面的な情報収集によって正確に把握したデータをベースに制度改正につなげていく重要性を強調した。