組織に属さないで働くフリーランスを保護する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)について、新法の「就業環境整備」に関する政省令・指針を議論してきた厚生労働省の有識者検討会(鎌田耕一座長)は20日、厚労省が取りまとめた報告書案を了承した=写真。新法の「取引適正化」に関する政省令・指針については、公正取引委員会の所管で1月19日に報告書が策定されており、厚労省と公取委、中小企業庁にまたがる「フリーランス新法」は、11月1日施行に向けて発注企業とフリーランスの双方に対する周知を加速させる方針だ。
報告書の取りまとめを受けて、鎌田座長は「今までさまざまな困難や取り引き上の苦労のあったフリーランスが、安心して積極的に活動できる環境を後押ししようという法律だ。社会全体で認識を深め、経済発展につなげてほしい」と述べた。新法の骨子はもっぱら、事業を発注する側である「特定業務委託事業者」の規制を強め、受注側の「特定受託事業者」が不利にならない内容にした点が特徴だ。具体的には、発注者に対して業務内容や報酬などの契約明示を義務づけたほか、報酬を相場より著しく低く設定したり、契約後に不当に減額したりすることを禁止。報酬の支払い時期を、「製品」を受け取った日から60日以内とすることなども義務化した。
また、フリーランス側が出産、育児、介護と両立したい場合は配慮が必要で、各種ハラスメントに対応する相談窓口なども整備が求められる。契約を中途解除する場合の30日前までの予告のほか、募集広告などでの虚偽表示を禁止する。発注企業がこれらに違反した場合、フリーランス側は国の相談機関に相談でき、国は違反行為に対して指導や勧告などを行うことができる。命令に従わない場合は50万円以下の罰金を科すことにしている。
同検討会は昨年9月から計9回にわたって議論を重ね、前回(3月28日)までに政省令・指針の骨子を固め、5月11日までパブリックコメント(意見公募)を実施していた。内容は(1)募集情報の的確表示(2)妊娠、出産、育児、介護に対する配慮(3)ハラスメント対策に関する体制整備(4)委託側が適切に対処するための指針(5)中途解除の事前予告・理由開示(6)厚労相の権限の委任――の6項目で整理してある。
この日、厚労省が開示したパブリックコメントの中には...
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