厚生労働省が17日発表した「職場のハラスメントに関する実態調査」(企業、労働者調査)によると、過去3年間に相談のあったハラスメント該当事案は「パワハラ」が64.2%で最も多く、勤務先の労働者調査でも「パワハラ」が19.3%で最も多かった。
企業相談では、パワハラ以外には「セクハラ」が39.5%。「カスタマーハラスメント(カスハラ)」(顧客からの迷惑行為)が27.9%で続いたが、このうちハラスメントに該当すると判断した事例は「カスハラ」が86.8%で最も多く、「セクハラ」が80.9%で続いた。「カスハラ」は該当件数が年々増えており、企業にとって大きな問題になっている実態が浮かび上がった。
労働者調査でも、パワハラに次いで「カスハラ」が10.8%、「セクハラ」が8.3%の経験者がいた。カスハラの多い業種は「生活関連サービス、娯楽業」「卸売・小売業」「宿泊、飲食サービス業」など顧客との対面業種で多かった。主な内容は頻繁なクレームなどの「継続的な、執拗な言動」、大声で責めるなどの「威圧的な言動」、暴言や土下座の要求などの「精神的な攻撃」が多かった。
しかし、ハラスメントを受けた後の行動はパワハラ、セクハラとも「何もしなかった」人が最も多く、カスハラだけは「上司に相談した」が38.2%あり、「何もしなかった」の35.2%を少し上回った。
調査は、企業向けを昨年12月、労働者向けを今年1月に実施。企業(従業員30人以上)は7780社、労働者(20~64歳)は8000人の回答を集計した。