財務省が22日発表した「地域企業における賃上げ等の動向について」によると、今年べースアップ(ベア)を実施した企業は70.7%(前年比6.3ポイント増)、定期昇給(定昇)を実施した企業は81.9%(同2.5ポイント増)といずれも昨年を上回った。ベア実施については大企業の81.1%(同3.2ポイント増)に対して中堅・中小企業は63.1%(同8.8ポイント増)と伸びたものの、大企業よりは低い。
ベアの引き上げ率については「3%以上」が59.8%(同23.4ポイント増)を占めたが、定昇と合わせて「5%以上」引き上げたのは36.5%(同17.6ポイント増)にとどまり、「4.0~5.0%未満」が15.1%、「3.0~4.0%未満」が19.2%を占めるなど、5%に届かない企業が63.5%程度に上った。
企業規模別にみると、5%以上の「ベア+定昇」を実施したのは大企業の53.8%(同27.7ポイント増)に対して、中堅・中小企業は24.4%(同11.0ポイント増)にとどまり、どちらも昨年よりは大幅に増えたものの、中堅・中小企業の賃上げの厳しさを見せる結果となった。
賃上げの原資となる人件費の価格転嫁について、「一定以上できた」のは大企業で29.8%、中堅・中小企業で32.4%だったが、「できていない」企業も各44.6%、50.2%に上り、転嫁できない理由として「同業他社の動向」「原材料費の転嫁優先」「取引先の理解不足」などを挙げる企業が多かった。
調査は3月中旬~4月中旬に実施、各財務局がヒアリングした1125社の4月5日時点の回答を集計した。企業規模では資本金10億円以上を「大企業」、10億円未満を「中堅・中小企業」に区分した。