東京商工リサーチが8日発表した全国企業倒産状況(負債額1000万円以上)によると、2023年度は9053件(前年度比31.6%増)、負債総額約2兆4631億円(同6.0%増)となり、件数、負債額とも2年連続で増えた。件数は14年度以来9年ぶりの9000件台で、資材価格の高騰などによる建設業の破綻が目立った。
産業別ではサービス業他の3028件(同34.8%増)で最も多く、建設業が1777件(同39.4%増)、製造業が1006件(同25.4%増)、卸売業が1048件(同27.0%増)で続いた。資材高や仕入れコスト増加の一方、その分の価格転嫁が進まず、資金繰りに窮した企業が多かったとみられる。
要因別では、「物価高」倒産が684件(同約1.7倍)と急増し、「ゼロゼロ融資」利用後の倒産が622件(同14.3%増)で最高を記録、「税金滞納」倒産が82件(同約3.4倍)。「ゼロゼロ融資」後の件数は20年7月以降の累計で1369件に上り、コロナ対策で急場はしのいだものの、「税金滞納」と同様に過剰債務の副作用で行き詰った形だ。ただ、従業員10人未満の中小企業が88.6%の大部を占めている。
一方、負債1000万円未満の倒産も498件(同16.9%増)で3年ぶりに前年を上回った。同社によると、コロナの支援策で借入金が膨らみ、負債1000万円以上に"編入"された企業が多かったことから、伸び率は鈍かったが、中小・零細企業の息切れが本格化した兆しとみられている。