組織に属さず働くフリーランスを保護する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)について、新法の「就業環境整備」に関する政省令を議論してきた厚生労働省の有識者検討会(鎌田耕一座長)は28日、事務局の厚労省が取りまとめた報告書骨子案と指針案を了承した=写真。パブリックコメント(意見公募)を開始して、次回会合で正式に確定する。また、新法の「取引適正化」に関する政省令については、公正取引委員会の所管で1月19日に報告書が策定されており、厚労省と公取委、中小企業庁にまたがる「フリーランス新法」は、半年後の施行に向けて本法に連なる法整備が実質的に固まった。
新法の骨子はもっぱら、事業を発注する側である「特定業務委託事業者」の規制を強め、受注側の「特定受託事業者」が不利にならない内容にした点が特徴だ。具体的には、発注者に対して業務内容や報酬などの契約明示を義務づけたほか、報酬を相場より著しく低く設定したり、契約後に不当に減額したりすることを禁止。報酬の支払い時期を、「製品」を受け取った日から60日以内とすることなども義務化した。
また、フリーランス側が出産、育児、介護と両立したい場合は、必要な配慮をする。各種ハラスメントに対応する相談窓口などを整備。契約を中途解除する場合は30日前までに予告する。募集広告などでの虚偽表示を禁止するなど、「雇用者」に適用される内容も一部に盛り込んである。発注側がこれらに違反した場合、フリーランス側は国の相談機関に相談でき、国は違反行為に対して指導や勧告などを行うことができる。命令に従わない場合は50万円以下の罰金を科すことにしている。
この日の検討会で了承した報告書案は、政省令や告示に関する事項として(1)募集情報の的確表示(2)妊娠、出産、育児、介護に対する配慮(3)ハラスメント対策に関する体制整備(4)委託側が適切に対処するための指針(5)中途解除の事前予告・理由開示(6)厚労相の権限の委任――の6項目で整理。このうち、(1)と(2)と(4)に関する指針も詳細に取りまとめた。
報告書案を了承するにあたり、昨年9月から8回にわたって議論を積み重ねてきた委員は、運用面での留意点や現場で起きている課題などについて発言。募集情報の的確表示の関係では...
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