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2024年3月 6日

労働「時間帯」の視点から、生活と健康を考える 「時間貧困線」など使い、労政フォーラム

 労働政策研究・研修機構の労政フォーラム「時間帯に着目したワーク・ライフ・バランス~家族生活と健康」が2、6の両日オンラインで開かれた。日本人の働き過ぎを労働時間だけでなく、労働時間帯の観点から分析したもの。

 2日は千葉大大学院の大石亜希子教授が「時間帯の視点からみた労働者の生活と健康、子どもへの影響」と題して基調報告。大石氏は経済のサービス化などで「24時間週7日経済」が進んでいると指摘し、平日9時~17時の範疇に入らない就労を「非典型時間帯就労」と名付け、それが増えると労働者の身体的・精神的健康、夫婦間の葛藤や離婚、子どものメンタルヘルスなどに悪影響を及ぼすという研究結果を披露。労働政策に「時間帯」の概念を導入し、母子世帯など不利な状況にある家庭への支援強化などを提言した。

 続いて、九州大の浦川邦夫教授が「就労世代の生活時間の貧困」、同機構の高見具広主任研究員が「生活時間と健康確保に関わる働き方」と題して報告。浦川氏は貧困を所得水準だけでなく、生活様式なども含めた労働時間に「時間貧困線」を設定し、世帯類型ごとの貧困率を引き出し、それがケアの質や父親の育休取得などにまで影響を与えることを示唆した。 高見氏は生活時間や健康面から望ましい働き方を分析し、単なる長時間労働だけでなく、不規則勤務や休憩時間の取りにくさなども影響することを、統計を交えて解説した。

 6日のパネルディスカッションには東大男女共同参画室特任助教の中野円佳氏、NPO法人フローレンスの桂山奈緒子氏が加わり、中野氏は「両親の帰宅時間が子どもの成績や母親の両立葛藤に与える影響」、桂山氏は東京都文京区で始めた貧困家庭への「こども宅食」事業をそれぞれ紹介しながら、家族生活と健康に及ぼす影響について自説を述べた。

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