雇用仲介の「新形態サービス」事業者で組織するスポットワーク協会(米田光宏代表理事)は29日、発足3年目を迎えるにあたって活動報告会を開催。対象事業者や職業安定法上の位置付け、順守事項などを取りまとめた「スポットワーク雇用仲介事業ガイドライン」を策定し、報道陣らに公表した=写真。雇用仲介の中でも特に市場が急拡大している領域で、人材系以外の異業種による新規参入も見込まれることから、業界の健全な市場成長に向けて自主的に「事業者の基準」を整えた。
同協会は2022年2月に発足し、正会員7社のほかアドバイザリー会員、準会員、賛助会員で構成。スポットワーカーを取り巻く環境の調査・研究や労働行政に協力して関係機関と会員相互の連絡・協調を推し進めている。
策定したガイドラインは、鎌田耕一理事(東洋大名誉教授)と小川嶺理事(タイミー社長)が説明。「スポットワーク雇用仲介事業は、短時間・単発の就労を内容とする雇用契約の仲介事業」と定義し、ガイドラインは「正会員として活動する企業が最低限準拠すべき基準」としている。2章4節の全14条にまとめ、現行の職安法や労働基準法、労働契約法に照らしながら情報の的確表示やチェック体制の整備などを明記し、解説を添えている。
また、3年目に向けた協会活動として大友潤理事(シェアフル取締役)は、会員企業が競争領域とならない共通機能の集約と法人・個人が安心してサービスを利用できる環境構築として、「機能と情報のシェアード」について言及。カスタマーサポートセンター(相談窓口)の設置も目指していく方針だ。情報発信については上土達哉理事(LINEヤフーLINE HR事業本部長)が説明し、当面は求人企業向けの発信を優先しつつ、スポットワークの健全性の認知拡大を展開する。
記者との質疑応答を踏まえて米田代表理事は「労働人口が確実に減少していく中で、それぞれの時間をうまく活用しながら働くという流れは日本の社会課題の一つを解決する大きな力になれる」と強調したうえで、「一方で闇バイトなど負の側面があらわれてしまうのも事実。顕在化するリスクにも向き合って業界団体としてしっかり対応し、賃金デジタル払いの有効活用や税と社会保障を含む多面的な課題にスポットワーク事業を通じて寄与していきたい」と述べた。