日本障害者雇用促進事業者協会(促進協、西村賢治理事長)は28日、「障害者雇用最前線~雇用創出の現時点と我々の役割を考える」と銘打ち、東京都内でリアルとオンラインのハイブリッドで会員企業向けセミナーを開いた。促進協は昨年9月に発足し、今回が初めての勉強会。専門家による問題提起や会員企業の事例発表、グループディスカッションなどを通して、質の高い障害者雇用に向けて多角的に研さんを積んだ=写真。
促進協は、農園型やサテライトオフィス型などで障害者と雇用企業の双方を支援する事業者の団体。障害者雇用をめぐる法整備が拡充する中、多様化する就労ニーズへの対応や企業の雇用主責任を重視した適正な支援を推進し、業界全体の信頼向上と障害者雇用の健全な発展を目指している。
はじめに、横浜市立大学都市社会文化研究科の影山摩子弥教授が「障害者雇用創出における企業の役割」と題して問題提起。障害者雇用を巡る法整備の経過などを押さえたうえで、企業に求められる雇用の質の確保と戦力としての人的資本戦略の意義を強調。「障害者雇用でダイバーシティマネジメントのノウハウが形成され、企業のイノベーションにつながる」と説いた。
続いて、促進協理事でUNTOLD社長の春海貴信氏が、サテライトオフィス事業について自社の取り組みを披露。事業を始動させた背景や狙いを伝え、「スキルアップ形成に努め、サテライトオフィス内から企業の営業所や支社、本社に雇用の場を広げることを大切にしている」と力説した。促進協理事長でスタートライン社長の西村賢治氏は、農園型事業の特徴と仕組みを紹介。「企業と働く当事者の相互理解を重要視している」として、「やりがいと成長」「雇用の好循環」をキーワードに挙げた。
グループディスカッションでは、厚生労働省が実施した「障害者雇用ビジネスの実態把握」の結果などを踏まえて、「利用企業の責務」「雇用の質」「インクルーシブな社会」を切り口に課題を掘り下げた。促進協は定期的に勉強会を開く計画で、次回は4月17日に「質の高い雇用~個々の特性を活かし生産性を上げる」をテーマに開催する。
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