適正な製造請負の管理体制や実施能力を有する事業者を認定する「GJ認定制度」について、製造請負事業改善推進協議会は6日、2023年度のオンラインセミナーを開催。請負事業者(派遣元)と発注メーカー(派遣先)の担当者ら約200人が、認定取得事業者による講演や事例紹介などを通じて、現場視点に基づく製造請負事業の要所や「GJ認定」の意義について学んだ=写真。
「製造請負優良適正事業者認定制度(GJ認定)」は、製造業の請負事業にかかわる体制の向上と雇用管理の改善などを目的に、厚生労働省が2010年度から実施し、運営を委託している事業。発注者と働く人の双方にとって、請負事業者を選択する際の「判断基準の指標」として設けられた。認定の質の維持・確保のために3年ごとの更新がある。
GJ認定制度は、請負ガイドラインに基づき、「経営方針」「ものづくり力」「ひとづくり力」「労働者保護」の4分野・107項目の審査基準を設定。書類審査と現地審査を実施して審査機関が判定している。この日は、制度開始の初年度に認定を取得したウイルテック(本社・大阪市)の宮城力社長が「二極化していく製造人材サービスの今後〜請負の深化から生まれる新たなサービス」と題して講演。国内の構造的な人材不足と製造人材サービスを取り巻く環境を説いたうえで、同社が注力している「海外人財の活用」と「新たな技術活用」について現場感あふれる具体的な挑戦を披露した。
今後も広がる見通しの「海外人財」においては、「選ばれる日本、選ばれる企業としてスキルアップと待遇改善、生活支援に積極的に取り組みたい」と強調。ロボットの開発・導入といった「新たな技術活用」に関しては「現場に精通したアドバンテージがある」として、「請負環境は事業の種であり、成長を促すフィールド」と、請負事業の醍醐味とポテンシャルの高さを力説した。
続いて、2011年度に取得した東洋ワーク(仙台市)の五十嵐良也常務・事業本部長と村上幸一業態開発課長が「『GJ認定』で製造請負の正しい物差しとレベル感を確認」と題して、実践事例を紹介。入職時教育や社員のスキル管理、安全衛生への意識レベルの共有など、意識している請負事業所の取り組みを説明したうえで「日ごろからGJ認定基準を製造請負の『合格ライン』として確認しながら請負の精度を高めている」と述べた。同協議会では毎年度、認定事業者のインタビューを掲載した「好事例集」を作成しており、東洋ワークは本年度の好事例企業として登場している。
最後に、同協議会事務局が請負ガイドラインや、外国人の在留資格認定証申請時の手続き簡素化など、「GJ認定事業者」に対する行政の優遇措置などについて説明した。
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