ホワイトカラー中心の日本人材紹介事業協会(林徹郎会長)は25日、2024年東日本ブロック会・新年交歓会をリアルとオンラインのハイブリッドで開催した=写真・上。林会長は「雇用仲介事業が多様化し、人材ビジネスの事業者間競争が激化する中で、職業安定法に求められる職業紹介事業の規定や考え方は基本的に堅持されるべき」と強調。「責任の主体は人と定めて職業紹介事業の展望を描くとともに、AIなどのデジタル技術は人を支援する重要な機能ツールと位置付けて活用を図るのがあるべき姿だ」との考えを示した。
人材協は本年度、職業紹介ビジネスの事業価値の向上を目的として、事業者のあるべき姿や人材協のあり方、会員への支援機能などを検討する「未来プロジェクト」を創設。職安法に基づく許可事業の職業紹介とそれ以外の雇用仲介事業が近似してきていることから、法整備の提言なども含めて鋭意、議論を深めている。
講演では、学習院大学の今野浩一郎名誉教授=写真・下=が「『新しい時代の働き方に関する研究会』で考えた事」、厚生労働省需給調整事業課の中嶋章浩課長が「職業紹介事業の現状と課題」と題して登壇した。
今野氏は、昨年10月に報告書を取りまとめた同研究会の座長として参画。そこでの議論を踏まえ、労働基準関連法が多様化する働き方が広がる中で実態にそぐわない制度になってきている点を指摘。最大の変化が「個人と会社の関係」にあり、「個人は希望する働き方とキャリア形成を支援する環境を会社に求め、会社は社員が自ら考えて行動し、成果を出すことを求める時代になった」と解説。こうした変革期における人材紹介のあり方として、従来の単純なマッチングではなく、「長期視点に立ち、個人と会社の相性が良く、ともに成長できる高度なマッチングがポイントになる」と述べた。
中嶋氏は、最近の国内労働市場の動向を解説したうえで、雇用仲介事業が多様化する流れの中で、「求人企業と求職者にとって、より選択しやすい環境づくりが求められている」と期待。具体的には、賃金上昇を伴う転職や満足度向上を伴う転職などの情報を積極的にアピールするといった、生産性向上に資する事例発信を求めた。