厚生労働省が10日発表した毎月勤労統計の昨年11月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は28万8741円(前年同月比0.2%増)で23カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は83.9(同3.0%減)で20カ月連続のマイナスとなり、プラス転換にはほど遠い。
マイナス幅は昨年1月の同4.1%を最大に、その後は2~3%前後で推移。春闘の賃上げ効果の出る5月は一時的に0.9%に縮小したが、6月に1.6%と再び拡大し、7~9月は2.7~2.9%と拡大幅を広げていた。10月から最低賃金(最賃)の大幅引き上げが始まったことから、マイナス幅は一時的に2.3%に縮小したものの、11月は再び拡大し、4月の3.2%に次ぐ大幅なマイナスとなった。
基本給など所定内給与は25万2591円(同1.2%増)で、残業代などの所定外給与は1万9788円(同0.9%増)、ボーナスなどの特別給与は1万6362円(同13.2%減)に落ち込んだ。
雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者の37万7001円(同0.3%増)に対して、パートタイム労働者は10万4253円(同2.5%増)と伸び、10月からの最賃効果が出ている。
産業別で伸びが大きかったのは、「電気・ガス業」の47万1971円(同5.8%増)、「金融・保険業」の40万8417円(同4.9%増)、「教育・学習支援業」の31万1827円(同4.3%)ぐらい。建設業の38万8707円(同2.7%減)、「医療・福祉」の27万2493円(同1.7%減)など、16産業のうち4産業がマイナスだった。
月間総実労働時間は138.8時間(同0.0%)。月末の常用労働者数は5280.7万人(同2.0%増)で、パートタイム比率は32.42%(同0.46ポイント増)だった。