東京商工リサーチが22日発表した企業の「欠員率」に関する調査によると、半数以上の企業で欠員率が「5%以上」あり、宿泊、建設、情報通信業などの業種で顕著なことがわかった。欠員率は「現在募集中の従業員数÷現在の従業員数」で計算、非正規雇用も含む。
欠員率が「5%以上」が51.4%あり、「5%未満」は19.7%、「不足していない」が28.9%。企業規模別にみると、「5%以上」は大企業と中小企業ではほぼ同じ比率だが、「不足していない」は大企業の18.2%の67社に対して、中小企業は30.0%の992社に上った。
「5%以上」を業種別にみると、「宿泊業」が85.0%で最も高く、次いで「職別工事業」が72.7%、「設備工事業」が71.6%、「農業」が71.4%など。
一方、来年の賃上げ予想については、「5%以上」の企業で「23年を超える」と答えた企業は13.7%程度で、「23年と同程度」が54.5%、「23年を下回る」が19.5%となり、「賃上げできそうにない」も12.3%あった。深刻な人手不足下でも、業績不振などで従業員の待遇改善に動けない企業も少なくないことがうかがえる。
「23年を超える」企業の多い産業は「情報通信業」が23.0%で最も多く、2024年問題を控える「運輸業」が16.6%で続いた。「賃上げできそうにない」産業で最も多いのは「不動産業」の26.9%だった。
調査は1~11日に実施、3669社から有効回答を得た。資本金1億円以上の369社を大企業、同1億円未満の3300社を中小企業に区分した。