厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計の10月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万9172円(前年同月比1.5%増)で22カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は80.9(同2.3%減)で19カ月連続のマイナスとなり、プラス転換への道筋は見えない状況だ。
マイナス幅は1月の同4.1%を最大に、その後は2~3%前後で推移。春闘の賃上げ効果の出る5月は一時的に0.9%に縮小したが、6月に1.6%と再び拡大し、7月は2.7%、8月は2.8%、9月も2.9%(確報値)と拡大幅を広げていた。10月から最低賃金(最賃)の大幅引き上げが始まったことから、マイナス幅の縮小が期待されたが、0.6~0.4ポイント程度の縮小にとどまった。
基本給など所定内給与は25万2825円(同1.4%増)で、残業代などの所定外給与は1万9466円(同0.1%減)だった。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者の36万3226円(同1.6%増)に対して、パートタイム労働者は10万3132円(同3.2%増)と伸び、最賃効果が出始めた印象だ。
産業別で伸びが目立ったのは、「情報通信業」の42万3272円(同5.1%増)、「金融・保険業」の39万5721円(同4.9%増)、「複合サービス業」の32万1724円(同4.8%増)など。16産業のうち「鉱業・採石業」を除く15産業でプラスだった。
月間総実労働時間は138.2時間(同0.7%増)で4カ月ぶりのプラス。月末の常用労働者数は5264.1万人(同1.9%増)で、パートタイム比率は32.39%(同0.47ポイント増)だった。