厚生労働省が1日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.30倍だった。今年の倍率は1月の1.35倍から横ばいを交えて緩やかな低下傾向をたどっており、7月から3カ月連続で1.29倍が続いていたが、10月になってやや盛り返した形だ。前月を上回ったのは10カ月ぶり。
企業側の有効求人数約251万人(前年同月比1.5%減)に対して、有効求職者数は約192万人(同1.6%増)。都道府県別(就業地別)の倍率は福井県の1.95倍が最高で、最低は大阪府の1.10倍。
新規求人倍率は前月比0.02ポイント上昇の2.24倍だった。新規求人数(原数値)は前年同月比1.8%減。産業別で増えたのは学術研究・専門・技術サービス業の同3.0%増、宿泊・飲食サービス業の同2.2%増などで、製造業は同10.6%減、建設業も同6.2%減など。その他を含む全11産業のうち、6産業で減少した。
宿泊・飲食サービス業は秋の行楽需要や年末年始の宴会需要などに向けて求人を増やす一方、生産の停滞などによって製造業の求人は低下。これに対して、求職者は物価高などを背景に転職先を探す動きが活発化し、9、10月の求職者数はそれまでの減少から増加に転じている。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント低下の1.01倍だった。
10月完全失業率は2.5%、2カ月連続低下
総務省が1日発表した10月の就業者数は6771万人で、前年同月比16万人増と15カ月連続の増加。完全失業者は175万人の同3万人減で、2カ月連続の減少となった。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント減の2.5%となり、2カ月連続で低下。人手不足で就業者が増え、労働力が再びタイトになってきたことを裏付けている。男女別では男性が前月比0.2ポイント減の2.6%、女性が同0.2ポイント上昇の2.5%だった。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5752万人のうち、正規従業員は3611万人で前年同月比3万人の減少、非正規従業員は2140万人で同24人の増加となり、非正規比率は37.2%に上がった。
非正規の内訳はパートが1018万人(同11万人減)、アルバイトが482万人(同31万人増)、契約が282万人(同6万人減)、派遣が159万人(同14万人増)、嘱託が113万人(同4万人減)となり、パート減とアルバイト増、派遣の増加が目立った。
一方、10月の休業者は166万人で前月比15万人減、前年同月比8万人減。6月から3カ月連続で数が増えていたが、9月に減少に転じ、10月も2カ月連続で減った。