帝国データバンクが14日発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、10月時点で正社員が「不足」している企業の比率は52.1%となり、10月としては18年の52.5%に次ぐ水準。過去最高だった18年11月の53.9%に迫っている。インバウンド需要が高まっている「旅館・ホテル」の75.6%を最高に人手不足の深刻化が進んでいるが、人員増へのハードルは高そうだ。
業種別では「旅館・ホテル」に次いで、ITエンジニアが足りない「情報サービス」が72.9%と慢性的な不足が続いている。また、「建設」が69.5%、「物流(道路貨物運送)」が68.4%に達しており、時間外労働の規制が適用される「2024年問題」を目前に控えているが、どちらも約8割で従業員が増えておらず、人手不足の長期化が予想される。
これを反映して今年1~10月の「人手不足倒産」は206件に達し、近年の最高だった19年の年間192件をすでに上回っている。そのうち、建設業が77件、物流業が32件とこの2業種で過半数を占めており、「24年問題」が顕在化している情勢だ。
一方、非正規社員についても「不足」企業は30.9%の高止まりが続いており、過去最高だった18年12月の34.9%に近付いている。業種のトップは「飲食店」の82.0%で、「旅館・ホテル」が73.5%で続いている。
同社は「不足解消にはマンパワーの増加と生産性向上のいずれかが求められるが、従業員を増やすのは困難であり、生産性の向上は避けて通れない。業務フローの見直しやデジタル化による効率アップなどが必須」と分析している。
同調査は毎月実施しており、今回は10月18~31日に実施。全国2万7052社を対象にし、うち1万1506社の有効回答を集計した。