多様化する働き方に対応した労働基準法の見直しを検討するため、厚生労働省は年度内に法律の学識者らによる研究会を設置する。見直しの方向性について整理した有識者による「新しい時代の働き方に関する研究会」の報告書を踏まえた動きで、次は具体的な法制度のあり方を含めて検討を進める。13日開かれた労働政策審議会労働条件分科会(荒木尚志分科会長)で、厚労省が公労使に説明した=写真。
労基法の見直しを巡っては今年3月、主に経済学者や企業人事らの専門家をメンバーとした有識者研究会を設置。15回にわたる精力的な検討を重ねて、10月20日に報告書を取りまとめた。労働者の心身の健康を「守る」「支える」を基軸としつつ、「新しい働き方に対応した労働時間制度の柔軟化を求める声もあり、時代に合わせた見直しが必要」と提言しているほか、労使コミュニケーションの確保、シンプルで分かりやすい実効的な制度など、多面的な角度から考察している。
この日の分科会で厚労省は、先に公表された報告書の概要と要所に触れたうえで、「大きな方向性と考え方を示したもので具体的な法制度には言及していない。来年、働き方改革関連法の施行5年の見直しのタイミングでもあり、より具体的な法制度を含めた研究を進めなければならない」と説明した。
これを受けて、労働者側委員は「労基法は働くうえでの最低基準だ。見直し議論になると思われるが、働く人の多様な希望に応えることは労基法を見直さなくても十分に可能」と指摘。「今回の報告書で強行法規である労基法の見直しの方向性が示されたことで、連合傘下の組合の中から『最低基準を外す新たな例外が検討されるのではないか』など懸念の声が上がっている」と、警戒感をにじませて慎重かつ丁寧な議論を要請した。
一方、使用者側委員は「働く場所や時間なども自由に選択したいという意識が高まっている。法律で画一的な規制や取り決めがあると、こうした社員の希望に柔軟に応えていくことが難しくなる」と強調。「今後の労基法のあり方は労働者の心身の健康確保に憂慮しつつ、制度の中身であるとか話し合いの対応なども含めて、個別企業の労使が選択できるような仕組みも取り入れてもらいたい」と要望した。
厚労省は...
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